レーザ発振器の種類
レーザ発振器の種類

レーザ発振器から発振されるレーザ光の波長はレーザ媒体が発する光(波長)です
そのためレーザ発振器の名前は使用されるレーザ媒体の名前に由来している場合が多い



レーザ媒体は気体・液体・固体の3種類が存在し、産業用途では気体もしくは固体のレーザ媒体が使われています。

気体レーザ
CO2(10.6μm、9.4μm)
CO2レーザは放電によって励起されたCO2分子により放出された光がレーザ光として発振します。レーザ光としての波長は10.6μmと9.4μmがあるが、一般的には9.4μmの発振が弱いため10.6μmを発振光としています。

[ CO2レーザの特長 ]
CO2レーザ発振器の特長は発振効率が高く大出力のCW(連続)発振が可能です。CO2レーザの波長(10.6μm)は固体材料の吸収において金属だけでなく樹脂系などの非金属に対しても優れているため幅広く加工用途に使用されています。

[ CO2レーザの光学系 ]
CO2レーザ発振器の光学系には、伝送系としてYAGレーザのようにファイバー伝送ができないため反射ミラーが多用されます。
ミラーが多用される光学系では1枚のミラーが光軸ズレを起こすとすべての光軸を合わせる必要が出てくるためメンテナンス時間を要するのが難点といえます。

またレンズなどの透過材料には一般の光学ガラスが波長10.6μmに対し不透過であるため、透過率の高いZnS(ジンクセレン)やGe(ゲルマニウム)など高価な光学材料を使用します。

エキシマ(XeCl 308nm、KrF 248nm、ArF 193nm)
エキシマレーザのエキシマとは、ハロゲンガスと希ガスが放電により励起され結びついた状態を略してエキシマと呼ばれています。レーザ媒体をパルス放電により励起することで比較的ピークの高いパルス発振を行います。使用するハロゲンガスと希ガスの組み合わせで波長が変わり、同じ紫外線でも材料及び用途によって波長を選択することができます。

[ エキシマレーザの特長 ]
エキシマレーザから発振される光は他のレーザと異なり誘導放出においてほとんど共振器内を往復せずに発振します。そのため可干渉性が低い。
また平均出力が高く出力されたビームの形状が長方形型(ビームプロファイルは、長手方向に均一強度、短手方向に正規分布をしている)をしており縦方向と横方向で拡がり角が異なります。そのためビームを絞ることができないため面加工という方法がとられています。

[ エキシマレーザの光学系 ]
一般的にエキシマレーザの光学系は、加工したい形状のマスクを使用しそのマスクの像を材料に縮小投影し加工するというものです。
ある面積内であれば加工形状や数にかかわらず一括同時加工を行うことが利点であり同じパターンを繰返し加工する場合に適しています。

固体レーザ
YAG(1064nm、SHG532nm、THG355nm、FHG266nm)、YVO4(1064nm、SHG532nm、THG355nm、FHG266nm)
YLF(1064nm、SHG532nm、THG355nm、FHG266nm)、ファイバーレーザ(1070nm、SHG532nm)

[ 励起方式の違い ]
ランプ励起とは励起光源にランプを使用してレーザ媒体を励起する励起方法です。特徴はランプ自体が安価なためレーザ発振器としての価格も安価にできることです。ただしランプ光をレーザ光に変換する変換効率が低いため共振器内で膨大な熱が発生し、レーザ光のビーム品質が低くレーザ出力安定性が不安定になりやすい。また消費電力や冷却容量が大きくなるためレーザ出力が大きくなればなるほどランニングコストが問題になりやすい。
LD励起とは、励起光源にLD(半導体レーザ)を使用してレーザ媒体を励起する励起方法です。LD励起の特徴はYAG結晶の吸収帯にあった励起光を発振するため効率よく『励起光-レーザ光』の変換が行われます。そのためビーム品質や出力安定性が高く、レーザ発振器の性能と信頼性がランプ励起と比べると高くなります。
一方でLDのコストはランプと比較すると桁違いに高く、レーザ発振器も高価となるためランプ励起との使い分けが求められています。

[ ランプ励起レーザの特徴 ]
ランプ励起方式レーザの特徴は一般的にパルス幅がミリ秒から連続波と長く、繰返し周波数が低いが出力エネルギーが高い。またビーム品質はマルチモードとなりレーザ光を小さく絞ることが不得意です。そのため微細加工用途にはあまり利用されず、溶接などの熱加工に多く利用されています。

[ LD励起レーザの特徴 ]
LD励起方式レーザの特徴は一般的にパルス幅がナノ秒からピコ、フェムト秒と短いため、アブレーション加工に適しています。また繰り返し周波数が高いため高速加工に向いており、ビーム品質がよいため、レーザ光を小さくきれいに絞ることができます。

レーザ熱加工と非熱加工

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